- 2025.06.06
- 2025.06.06
住宅ローンのオーバーローンとは?メリット・デメリットを解説
住宅ローンを組む際、手元にできるだけ資金を残しておく方法として、オーバーローンの活用が挙げられます。オーバーローンは住宅ローンに諸費用も含められることから自己資金(頭金)を投じなくて良く、資金を残したいときに便利です。
しかし、オーバーローンにはデメリットや注意点もあるため、「詳しく知りたい」という方もいるでしょう。
本記事では、オーバーローンの基本的な知識やメリット・デメリットを解説します。オーバーローンを利用する際の注意点も紹介しているので、興味がある方はぜひ参考にしてください。
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オーバーローンとは借入残高が住宅の資産価値以上を上回ること
オーバーローンとは、借入残高が住宅の資産価値を上回る状態のことです。たとえば借入額は4,000万円なのに対して、住宅の評価額は3,500万円のような場合は、オーバーローンとなっています。
まずは、オーバーローンが生じるパターンについてみていきましょう。
- オーバーローンが生じる主なパターン
- オーバーローンの要因となる住宅ローンに含められる諸費用
- オーバーローンとフルローンの違い
オーバーローンが生じる主なパターン
オーバーローンが生じるのは、以下のようなパターンです。
- 住宅取得時の諸費用も住宅ローンに含める
- 購入後に住宅や土地の価格が下がり、ローン残高を下回る
- 何らかの事情によって当初の計画よりも取得費用が安くなった
住宅ローンには、諸費用を含められるものが存在します。5,000万円の住宅を購入する際、諸費用の500万円も住宅ローンに含めると住宅価格を借入額が上回るため、オーバーローンとなります。
また、住宅の購入後にオーバーローンとなるケースも少なくありません。周辺環境の変化・不動産市場の変動・経年劣化・災害による損害などにより、住宅や土地の価格が大幅に下落するとオーバーローンとなる可能性があります。
そのほか、何らかの事情によって当初の計画よりも取得費用が安くなったときも、オーバーローンとなる場合があります。住宅を取得するときは住宅の建設以外にも、地盤調査・保険の加入・登記など、さまざまなプロセスが生じるものです。
住宅ローンでは資金計画をもとに融資が実行されますが、当初の資金計画よりも費用が安く済んだ場合には、余剰金が発生します。このようなケースも住宅の評価額を借入額が上回るため、オーバーローンとなります。
オーバーローンの要因となる住宅ローンに含められる諸費用
諸費用を住宅ローンに含めた場合、オーバーローンになりやすい傾向です。含められる諸費用は住宅ローンによって異なりますが、主には以下のような費用が挙げられます。
契約書に関する費用 |
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申請・登記に関する費用 |
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不動産の取得に関する費用 |
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保険料 |
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手数料 |
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住宅ローンに含められるのは、不動産の購入で必要となる費用です。一般的に固定資産税や不動産取得税などの税金は、住宅ローンに含めることができません。
含められる諸費用は住宅ローンごとに異なるため、事前に公式サイトや金融機関の窓口にて確認しておきましょう。
オーバーローンとフルローンの違い
オーバーローンとフルローンは明確な定義があるわけではないものの、一般的には対象となる範囲や意味合いが異なります。
オーバーローンは、そもそも物件の評価額を借入残高が上回る状態です。ただオーバーローンには2通りの意味合いがあり、「不動産購入費+諸費用」で住宅ローンを組む場合にも用いられます。
一方でフルローンは、自己資金(頭金)を投入せずにローンを組む行為です。住宅ローンの対象となるのは、不動産購入費のみとなる点でオーバーローンと違います。
フルローンを利用する場合、諸費用は住宅ローンには含めないため、自己資金や他のローンにて支払うのが一般的です。
いずれも手元の資金を減らしたくないときに有効ですが、具体的な資金計画が変わってくるので、概要を把握しておきましょう。
住宅ローンにおけるオーバーローンのメリット
住宅ローンでオーバーローンを活用するのには、以下のような4つのメリットが挙げられます。
- 手元の資金をあまり減らさずに済む
- 諸費用分を低金利でローン化できる
- 理想的な物件の買い逃しを防止できる
- 住宅ローン控除の金額を増やせる可能性がある
手元の資金をあまり減らさずに済む
オーバーローンは、手元の資金を減らさずに済むのがメリットです。自己資金にゆとりがあれば、急な支出が生じても対応がしやすくなります。
住宅ローンは、返済期間が長期的になりがちです。人生ではさまざまな支出が生じるため、現状や将来性を踏まえた資金計画を立てなければなりません。
たとえば30~50代の世帯は、教育費や衣類など、子どもに関係する支出が増える傾向です(※1)。日本FP協会「主なライフイベントにかかる費用の目安」によれば、幼稚園から大学卒業までにかかる教育費は、1人あたり1,097万円ほどとされています(※2)。
オーバーローンを活用すると預貯金で支出を賄いやすくなるため、教育ローンやフリーローンなどを活用しなければならないケースも減らせるでしょう。
参照:
(※1)総務省統計局|第4章 年齢階級別に見た暮らしの特徴
(※2)日本FP協会|主なライフイベントにかかる費用の目安
諸費用分を低金利でローン化できる
住宅ローンは、フリーローンや多目的ローンなどと比べて金利が低めです。オーバーローンを活用すれば諸費用を住宅ローンに含められるため、余分な利息の支払いを抑えられます。
住宅ローンの金利は金利タイプによっても異なりますが、1~2%前後が一般的です。一方で多目的ローンやフリーローンの金利は10%前後に設定されている傾向にあるため、諸費用は住宅ローンに含めたほうが利息の支払いを減らせます。
なお、諸費用を住宅ローンに含めるオーバーローンは、借入先を増やさずに済むこともメリットです。諸費用の支払いに他のローンを活用する場合、借入先が増えるぶん返済負担が大きくなります。
借入先が複数ある状態は「多重債務」といい、家計のキャッシュフローを悪化させることになりかねません。オーバーローンを活用すると他のローンを活用する機会を減らせるため、家計のキャッシュフローの悪化を防げます。
理想的な物件の買い逃しを防止できる
自己資金(頭金)があまり必要ないことも、オーバーローンの特徴です。少ない自己資金でも住宅の購入ができるため、物件の買い逃しを防げます。
人気エリアの土地や好条件な物件は、すぐに買い手が決まることも少なくありません。似たような物件がまた見つかるとは限らないため、機会を逃すと妥協した住宅を購入しなければならないケースも出てくるでしょう。
しかし、住宅は自身とその家族が長期的に使用するものなので、できることなら理想的な物件を手に入れたいところです。不動産は高額で流動性も低いことから、買い替えのハードルが高く、妥協するとのちほど後悔することになりかねません。
オーバーローンを活用すれば理想的な物件を手に入れやすくなるため、のちほど後悔するリスクを減らせるでしょう。
住宅ローン控除の金額を増やせる可能性がある
住宅ローンは、条件を満たすことで「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」の適用を受けられます。住宅ローン控除は、住宅性能に応じて所得税の控除が受けられる制度で、控除額は年末の借入残高をもとに算出される仕組みです。
オーバーローンを活用する場合、借入残高が大きくなりやすいため、控除額も増える可能性があります。ただし、住宅ローン控除制度には条件が細かく設定されており、オーバーローンを活用したからとって、必ずしも控除額が増えるわけではありません。
控除の適用にはさまざまな条件を満たす必要があり、控除額の計算も複雑なため、副次的なメリットと考えておきましょう。
住宅ローンにおけるオーバーローンのデメリット
つぎに住宅ローンでオーバーローンを活用するデメリットをみていきましょう。
- 月々の返済負担が大きくなる
- 金利が高くなる場合がある
- 審査が厳しくなる可能性がある
- 売却がしにくくなる
月々の返済負担が大きくなる
オーバーローンは、月々の返済負担が大きくなる点に注意が必要です。借り入れが多くなるぶん、月々の返済額は多くなります。
住宅ローンは、返済期間が長期的になりがちです。無理なく返済していくためには借入時の状況だけでなく、将来的な要素も加味しなければなりません。将来の部分については不確定要素が多いですが、何があっても良いようにゆとりある資金計画を立てることが大切です。
生活に支障をきたすことがないように、キャッシュフローと預貯金のバランスを考慮しつつ、余裕を持った返済計画を立てましょう。
金利が高くなる場合がある
オーバーローンは、金利が高くなる場合があることにも注意しましょう。住宅ローンは、融資率によって金利が変動する場合があります。融資率とは、借入額に対する自己資金の比率です。
オーバーローンやフルローンは自己資金を投じないため、融資率は100%以上になります。
たとえばフラット35は、融資率が90%を超えると金利が高くなる傾向です(※)。オーバーローンは融資率が100%を超えるため、金利の支払いが増える可能性があります。
なお、オーバーローン時に金利の支払いを減らすには、返済期間の短縮が有効です。手元の資金にゆとりがあるときは、繰り上げ返済をして返済期間の短縮を図りましょう。ただし、繰り上げ返済には手数料がかかるケースがあるため、事前に公式サイトで手数料額を確認しておきましょう。
参照:フラット35|金利情報
審査が厳しくなる可能性がある
オーバーローンは返済負担が大きいことに加え、物件の価値以上の借り入れをするため、審査が厳しくなることが予想されます。
住宅ローンの審査で重視されるのは、大きく「返済能力」と「信用情報」の2つです。審査項目は公表されていませんが、貸し倒れリスクや申込条件から予測すると、住宅ローン審査では以下のような項目をチェックされると考えられます。
- 年収
- 勤務先情報(勤務先企業・勤続年数)
- 信用情報(過去の取引における遅延・滞納などの記録)
- 返済比率
- 健康状態
- 申込時の年齢
たとえば年入は、高額で安定しているほど住宅ローンの審査では有利です。また、雇用が安定している公務員や大企業に勤務している場合は、審査でプラスにはたらく可能性があります。オーバーローンを活用する際は、可能な限りの審査対策を講じましょう。
以下では、住宅ローンの審査に落ちる主な原因や通りやすい人の特徴について解説しています。住宅ローンの審査について詳しく知りたいときは、あわせてご参照ください。
住宅ローン審査の基準を徹底解説!審査通過までの流れや落とされる理由も解説
売却がしにくくなる
オーバーローンは、住宅の売却がしにくい点もデメリットです。
住宅ローンを利用する場合、金融機関は住宅に抵当権を設定します。抵当権は、債務者が返済不能に陥った際に優先的に弁済を受ける権利です。債務者が住宅ローンを支払えなくなると、金融機関は物件を売却して貸付金を回収します。
抵当権が付いた不動産は、買い手が見つかりにくい傾向です。抵当権を外すにはローンを完済したあと、抹消手続きをしてもらう必要があります。
また、売却時には売却金額も考慮しなければなりません。ローンの残高を売却金で賄えない場合は、売却後も継続的にローンを返済していく必要があります。
住宅ローンでオーバーローンを活用する際の注意点
住宅ローンでオーバーローンを活用する際は、以下の3つの点に注意しましょう。
- 住宅ローンに含められる諸費用は金融機関が定める範囲のみ
- ローン完済前に住宅を売却するときは工夫が必要
- 余剰金が生じたときは金融機関に相談する
住宅ローンに含められる諸費用は金融機関が定める範囲のみ
住宅ローンに含めることができる諸費用は、その住宅ローンで定められた範囲のみです。定められた範囲以上のものを住宅ローンに含めると金融機関より、一括返済を求められたり、損害賠償請求をされたりする可能性があります。
そもそも、金融機関に嘘を付いて融資をさせるのは違法です。詐欺をはたらいたとみなされた場合には、刑法上の詐欺罪に問われる可能性もあります。
発覚した際のリスクが大きいため、含められる諸費用については、あらかじめ金融機関にしっかりと確認しておきましょう。
ローン完済前に住宅を売却するときは工夫が必要
抵当権が設定されている物件であっても、売却自体は可能です。しかし、住宅ローンでは抵当権設定契約を締結するのが一般的で、金融機関の同意なく所有権を移転させるのを禁じているケースも少なくありません。
また、抵当権が設定された状態では買い手がつきにくいことから、ローン完済前に物件を売却する場合は工夫が必要です。主な対策としては、以下の2パターンが挙げられます。
- ローンを完済し、抵当権を抹消してから売却する
- 任意売却を検討する
まずは、ローンを完済して抵当権を抹消してもらう方法です。別のローンを利用したり、自己資金を投じたりしてローンを完済すれば抵当権を外してもらえるので、スムーズに物件を売却できます。
自己資金が少ないときや他のローンの活用が難しいときは、物件の売却代金でローンの完済を図るのも良いでしょう。ただし、この場合にはあらかじめ金融機関の同意が必要です。
なお、ローンの支払いが厳しいときは、任意売却を検討してみるのもよいでしょう。任意売却とは、金融機関の合意を得て物件を売買する方法です。抵当権を抹消してもらえるのに加え、相場に近い価格で物件を売却しやすいため、住宅ローンの完済を目指せます。
ただし、任意売却には「信用情報に延滞の履歴が残る」「売却額が低いとローンの完済ができない」など、いくつかのデメリットがあります。今後の金融取引にも影響を及ぼす可能性があるため、仕組みやデメリットをきちんと理解したうえで活用しましょう。
余剰金が生じたときは金融機関に相談する
当初の計画よりも取得費用が安くなったことでオーバーローンとなった場合は、余剰金の用途に注意が必要です。定められた用途以外で使用すると契約違反となり、一括返済や違約金を請求されるリスクがあります。
住宅ローンで余剰金が生じたときは、まずは金融機関に相談しましょう。金融機関の指示に従って使用することで、安心して使えます。
住宅ローンのオーバーローンに関してよくある質問
ここでは、住宅ローンのオーバーローン関してよくある質問をまとめました。オーバーローンを検討する際に参考にしてみてください。
住宅ローンのオーバーローンは違法ですか?
オーバーローン自体は、違法ではありません。現状を正確に申告し、金融機関の同意のもとに組んだローンであれば、オーバーローンであっても問題なく活用できます。
ただし、金融機関に虚偽の申告したうえでのオーバーローンは違法です。主には物件価格を水増ししたり、対象以外の諸費用を含めたりする行為が該当します。違法なオーバーローンは、一括返済や損害賠償請求のリスクがあるため控えましょう。
オーバーローンの場合は審査が厳しいですか?
オーバーローンは借入額が大きくなるため、審査では厳しく返済能力をチェックされると予想されます。審査項目を公表している金融機関はありませんが、一般的には返済能力や信用情報をもとに判断されることが考えられます。
審査に受かる確率を高めるには、年収アップや信用情報にキズが残る行動をしないなど、可能な限りの対策を講じましょう。他社での借入があるときは、できるだけ減らしておくことが大切です。
オーバーローンがバレるのはどのようなケースですか?
オーバーローンがバレるケースとしては、提出書類をチェックされたときです。住宅ローンの申込時には、不動産売買契約書や工事請負契約書をはじめ、さまざまな書類の提出が求められます。
申込時に借入額を多めに申請しても、書類を確認された時点でバレてしまいます。
また、金融機関が定期的に実施する査定でバレるケースも少なくありません。違法なオーバーローンはペナルティを課されるリスクがあるため、住宅ローンは適切に利用することが大切です。
オーバーローンのやり方は?
住宅ローンにて諸費用を含めると、オーバーローンとなります。ただし、含められる諸費用の範囲は、住宅ローンによって異なるため注意が必要です。
一般的には、火災保険料・不動産会社への仲介手数料・契約書の印紙代などが挙げられます。
対象外のものを消費用に含めると違法となるため、含められる諸費用はあらかじめ金融機関に確認しておきましょう。
住宅ローンのオーバーローンはいくらまで可能ですか?
オーバーローンの上限額に明確な定めはありません。融資可能な金額については個人によって異なり、審査でその都度判断されます。
ただし、諸費用にはそれぞれ相場があります。対象範囲であっても相場とかけ離れた金額の場合は指摘を受けたり、審査に落ちたりすることも考えられます。
なお、借入額を多くしたいがために費用を水増しするのはやめましょう。違法なオーバーローンとみなされる可能性が高く、一括返済や損害賠償請求のリスクがあります。
住宅ローンでお悩みの際は「まるっとローン」にご相談を!
オーバーローンはそれなりのリスクがあるため、メリット・デメリットを理解したうえで利用することが大切です。無理なオーバーローンをしてしまうと資金を一気に減らしたり、信用情報にキズが入ったりすることになりかねません。
しかし、オーバーローンを適切に利用するには複雑な計算や法律の知識が必要なため、自分では判断が難しいという方もいるでしょう。
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オーバーローンはメリット・デメリットをきちんと理解したうえで活用しよう
住宅ローンでオーバーローンを活用するのは、手元にできるだけ資金を残したいときに便利な手段です。諸費用も住宅ローンに含められるため、自己資金を投じる必要がありません。手元の資金にゆとりがあれば、急な支出にも対応しやすくなるでしょう。
一方でオーバーローンは、返済負担が大きくなることや住宅を売却しにくくなる点に注意が必要です。金融機関によっては金利が高くなる場合もあるため、デメリットを理解したうえで利用しましょう。
また、オーバーローンを活用する際は、含められる諸費用を事前にしっかりと把握しておくことが大切です。対象外の諸費用を含めてしまうと一括返済や損害賠償請求のリスクがあるため、判断が難しいときは金融機関に確認をしましょう。
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